アナログ情報とは。デジタル情報とは。違いは何?

Introduction

 

なんか君ってアナログだよね。

言われても嬉しくない・・・。

「アナログ」ってどんな意味なのでしょう。

上の例のように、「あなたはアナログな人だね」と言われて嬉しい人はいないのではないでしょうか。

考え方が古臭い」「機械に弱い」そんな意味で使われている気がします。

一方「デジタルな人だね」と言われた場合は、「機械的で冷たい人」という感じでしょうか。

どちらにしても良い気分はしないですね。

日本語ではそんな意味で使われがちな「アナログ」と「デジタル」という言葉。

それらの本来の意味を説明していきます。

アナログとは。デジタルとは。

 

アナログ・・・連続的に変化する量
デジタル・・・段階的(離散的)に変化する量

 

一言で言うとこうなります。

これだけだとピンときませんね。

 

もう少し分かり易く説明しましょう。

 

私たちが普段の生活で接している情報には、色や音など様々なものがあります。

これらの情報は、どこかの境界で区切られているわけではなく、連続的に変化する情報です。

色や音に境目ってあるでしょうか?

例えば色。赤や緑や青など様々な色がありますが、その中間の色を考えると無限に存在しますね。連続的に変化しているといえます。

例えば音。低い声と高い声で考えてみましょう。「あーーー」と低い声から高い声まで上げていきます。連続的に変化しますね。

 

一方、デジタル表現とは一定の間隔で情報を区切る表現です。

色であれば、あなたが見ている色の変化を一定の間隔で区切って、似た色同志でまとめることになります。

区切って分けていくと、その間の色は無くなります。そのため情報量(色の数)は減りますね。極限まで減らせば白黒のような2色画像にまでなってしまいます。

 

音でも考えてみましょう。先ほどの低い声から高い声の「あーーー」を録音して、一定の音階でまとめるように保存してみたとします。

区切る細かさにもよりますが、ちょっと音質は悪くなります。音情報の一部を削除してしまうのだから。

 

さらに、重さや長さや時間で考えてみても良いでしょう。

 

重さの例としては体重計。

目盛が付いている体重計ですが、「何キロ?」とチェックする時、針の先を細かく見ようとすると「〇〇.〇〇〇kg

」のように永遠と細かく見ていくことができそう。

その重さを一定の間隔で区切って(大抵の場合は小数点1桁か2桁ですね)表示されるのがデジタル体重計。

時間の例としては、時計。

アナログ時計の秒針がスムーズに回転している状況を想像してください。「今、何時何分何秒?」と聞かれた場合は、針の先の一瞬を見つめて頑張れば、「〇時〇分〇.〇〇秒」ぐらいまで見ていくことができそう。

一方、秒や分でざっくり区切って情報を表示するのがデジタル時計です。

長さの例としては、体温計を挙げておきましょう。

昔の体温計と言えば、水銀の体温計です。今でも学校の保健室にあったりするのでは。

「37°以上の熱がでたら学校を休めるかも」ということで、こすって体温を上げようとした人もいるのでは。

この水銀の体温計は、水銀が上がった場所で体温を測ります。その位置を見つめると、「〇〇.〇〇〇℃」ぐらいまで読み取れそうです。

これを、小数点1桁で区切って表示するのがデジタル体温計です。

このように、連続した途切れの無い情報をアナログと呼び。そのアナログを一定の段階で区切って離散的に表示したものをデジタルと呼んでいます。

 

以上のように、アナログ情報の方が人間が常に感じている身近な情報であり、その情報を区切って情報量を少なくしたものがデジタル情報となります。

そのため、同じもので情報量を比較すると下のようになります。

 

アナログ > デジタル

 

また、それぞれの方式で表現されたデータを下のようによびます。

  • アナログで表現されたデータ・・・アナログデータ
  • デジタルで表現されたデータ・・・デジタルデータ

 

ちなみに、アナログデータをデジタルデータに変換することを

AD変換

と呼んでいます。

逆に、デジタルデータをアナログデータに変換することは

DA変換

と呼びます。

そのまま、アナログを「A」デジタルを「D」に置き換えているだけなので覚えるのも簡単ですね。

ここでのポイントは別にあります。

AD変換すると情報量が減ってしまうので、同じものをDA変換で戻そうとしても、元通りにはできないということです。

例えば、1万色使っていたカラー写真を白黒のデジタル画像にしたとします。この白黒画像を元のカラー写真には戻せません。

同じように、デジタル化して音情報が減ってしまった音楽を、元の音質に戻すこともできません。

 

AD変換
アナログデータ → デジタルデータ ・・・ 一定の間隔で区切るため、情報量が減る。

DA変換
デジタル―データ → アナログデータ ・・・ 元の状態に戻そうとしても一度無くなった情報は復元できない。

 

このように同じデータでも、AD変換を行う前と後では情報量が異なることになります。

このことを、変換誤差と呼びます。

 

では、なぜわざわざ情報量を減らしてまでデジタル化する必要があるのでしょうか?

それは、デジタル化することで便利になる点がいくつもあるからです。

次は、そのデジタル化の恩恵について話していきます。

デジタル化する利点

アナログと比べたデジタルの悪い点は簡単です。

情報量が減ること。

では、利点は何でしょうか。わざわざアナログ情報をデジタル化するには利点があるはず。

劣化しにくい

デジタル化する利点として、一番身近に感じるのは情報の劣化が無くなることではないでしょうか。

写真を例にすると・・・

おじいちゃん、おばあちゃんの子供の頃の写真を見せてもらったことはありませんか?

全体的に薄く黄ばんだ感じになっていたのではないでしょうか。

それに比べ、現代のスマートフォンやタブレットで撮影した写真は劣化することがありません。

なぜなら撮影と同時にデジタル化されているからです。

これらの写真は、何百年、何千年経っても、そのデータを写真として観る事ができる機械さえあれば、現在と全く同じ状態で観る事ができます。

 

また、資料館で見る事ができる、何十年も前の資料も一部破れていたり、墨が消えたりしていたのでは。

これら紙の資料も、スキャナーという光学読み取り装置でデジタル化すれば、

何年たっても劣化することなく保存できます。

 

アナログ情報が劣化する他の例としては、コンビニなどのコピー機での繰り返しのコピーを想像してもらうとよいでしょう。

コピーしたものを、またコピー。そのコピーをまたコピー。繰り返している内にどんどん文字が潰れて読めなくなっていきます。

昔テレビ録画に利用していたビデオテープも、何度もコピーしている内に画質が汚くなっていきました。
※この、コピーしても劣化しないという点は、著作権の問題にも関係していきます。

品質を維持しやすい

デジタル化した情報は、多少のほこりなどのよごれは問題としません。

レコードとCDを例にすると

昔のレコードは、盤の上に少しでも埃が乗っていると、「ぷちっ」というノイズが聞こえてしまいました。

それに比べて、CDやダウンロードしたデジタル化された音楽は雑音が突然入るという事はないはずです。

これは、デジタル情報が2進法によって表現されているのが理由ですが、これはまた違う章で話したいと思います。

加工しやすい

アナログ情報と違い、加工しやすいのもデジタル化の利点です。

 

画像を例にすると・・・

回転、拡大、縮小などが容易になる

パソコンやスマートフォンで写真を加工した事がある方は、様々な機能が簡単に設定できるので驚くはずです。

最近は、無料アプリで顔の年齢を変えたり、動物と合成してみる事なんかもできますね。

昔のフィルムを現像した写真だとそうはいきません。加工するとしても切り貼りするぐらいしかできません。

 

圧縮や暗号化が可能になる

デジタル化した情報は、保存方式を工夫することでファイルサイズを小さくすることができます。また、写真を見ようとした時にパスワードをかけることもできます。

一方、アナログデータの場合、印刷した写真(アナログデータ)を自分だけにしか見せないようにするには、箱に入れて鍵を掛けないといけませんね。

保存するメディアを選ばない

デジタルデータは保存するメディア(物)を選びません。

音楽でも写真でも、CD、DVD、USBメモリ、どれにでも保存できて持ち運びも楽。便利ですね。

一方、アナログデータは、音楽であればカセットテープやレコード、写真や文書であれば紙に印刷するなど、それぞれ適したメディアが必要になります。

 

統合して取り扱える

様々なデジタルデータを合体することができることもデジタルデータの利点の一つです。

 

皆さんが普段見ている、一般の方が編集した動画が正にその例でしょう。

デジタルカメラで撮影した動画に、文字を追加して、されに音楽を追加する・・・。

動く画像と、文字と、音。それぞれ違うメディアを自由に合体して一つの作品ができています。少しの操作を覚えれば誰でも簡単に作成できます。

一方、アナログデータでこの作業を行うとどうなるでしょうか。

一度撮影した映像をスクリーンに映した所に、文字を書いた紙を手前に映しつつ、同時に横で音楽をかけた状態の映像を新たに撮影し直す・・・。

こんな感じでしょうか。

なぜ、音と画像のように種類が違うものを簡単に合成できるのでしょうか?

それは、デジタルデータは0と1で表現する2進数という同じ仕組みで作成されているからです。
※他の章で説明します。

アナログ情報とデジタル情報の例

ここまでアナログとデジタルの違いについて説明してきました。

説明の途中で具体的な例をいくつか紹介しましたが、他の例についてもいくつか挙げておきます。

アナログ情報の例

生演奏で聴く音楽

水の量

 

(間に明確な区切りが無く連続的に変化しているものですね)

デジタル情報の例

コインの枚数

学校のクラス数

 

(とにかく、段階的、離散的にはっきり分かれているものですね)

 

押さえておきたいキーワード

学生の方が押さえておくポイントだよ

 

  • アナログ・・・連続的
  • デジタル・・・段階的、一定の間隔で区切って、離散的

 

  • AD変換
  • DA変換
  • 変換誤差

 

  • デジタル情報の利点各種

練習問題

◎ 各問題をクリック(タップ)すると答えが出てくるよ

連続的に変化する量
段階的、離散的に変化する量
音や映像をそのまま表現したもの
時間経過などで劣化する
外部の影響を受けやすい
アナログより情報量が減少する
劣化しない
外部の影響を受けにくい
保存メディアを選ばない
統合しやすい
アナログ → デジタル ・・・ AD変換
デジタル → アナログ ・・・ DA変換
※DA変換する際には、変換誤差に注意する

 

 

アナログは古い、デジタルは新しいという意味ではないんだなー